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「へ…ヘックション!」
天気の良いある日の午前中…大きなくしゃみが、結城家の長男・リトの自室に響いた。
何故、ヤミに何度ボコボコにされても、唯に鉄拳制裁をかまされてもすぐさま立ち直る程の肉体を持つリトが、風邪なんかこじらせているのかというと…
どうも、先日風邪をこじらせた唯の家に用事で行った時、うつされてしまったようなのだ。
無理もない。なんせ、いろいろあってちょっとの間密着すらしてたくらいだ。たぶんあの時にうつされてしまったのだろう。

「はぁ…風邪うつされるなんて…情けねー」
鼻声気味で、そう呟くリト。
同じく唯の家に来たララは、今日も何事も無かったかのようにピンピンしてたというのに…
「(…まぁ、アイツは特別か…;)」
正論とも言い訳ともとれるような理由で気を取り直すと、リトは手元にある漫画を手に取って読み始めた。
美柑とララは…共に学校を休んで風邪をこじらせたリトを看病する、と言ってくれたが、2人に悪いと思ったリトはなんとか言いくるめて断り、2人にはいつも通り学校に行ってもらった。
それに、そこまで酷い風邪ではなかったし、一人の方が誰にも気を遣わせなくて気楽だ、と思った…というのもある。
漫画を読むリトは、思わず感想を口からこぼす。
「うっわ…この茶髪の男子高校生、なんかスゲーHなトラブルに逢いまくってるな…俺だったら沸騰するか気絶モンだぜ…;」

―彩南高校―
2A教室は、いつもとほんの少し違う風景だった。
いつも底抜けに明るいララは、風邪をひいたリトを置いて来てしまった為か、なんだか浮かない顔をしている。
そんなララを見て、いつも清楚可憐な居振る舞いの春菜もなんだか心配そうな表情を浮かべているし、裏でララを恨んでるルンも、リトの体調を心配し、さらにララの調子がいつもと違うので自分もなんだか調子が狂っていた。
そして、もう一人…
―バタバタバタ…
「はぁ…はぁ…ぎ、ギリギリセーフだわ…;」

―キーンコーンカーンコーン…
そう、2Aの風紀委員・古手川唯である。
普段は1番乗りで教室に来るこの唯も、何故か今日は遅刻ギリギリの所で登校していた。
先日こじらせた風邪が治ったとはいえ、まだ病み上がり。いつもちゃんと早起きする唯も、この日は寝坊してしまったのだ。
しかも今朝は、昨日お見舞いに来てくれたリト達に改めてお礼を言うつもりでいた。その為唯にとっては、普通の寝坊より痛い寝坊であった。
チャイムと同時に骨川先生が出席を取り始める。
唯は、自分の番が回ってくるまでクラスを見回していた。
お礼を言いたい相手が、今日もちゃんと学校に来ているか。
(…え?)
見回してすぐ、唯は疑問を抱いた。
ララさんは居る。春菜さんも居る。ルンさん、お静さんも居る。
でも…一番お礼を言いたい、あの人が居ない…
何故?よりによって、あの人が…
頭の中は、その疑問で一杯になってしまう。
一杯になり唯の頭の中を支配したその疑問は、唯の口から思いもよらず出てしまうのに充分な力があった。

「…結城くんは?」
「…ふが?古手川君…?」
―ハッ―
骨川先生の声で、唯はふと我に返る。
気づいたら、自分の呼ばれる番が回ってきたところだった。
自分の名を呼ばれた時に、唯はさっきの言葉を口にしてしまったのである。
唯の予想だにせぬ言葉に、クラスがざわ…ざわ…とし始めた。
「『結城くんは?』って…おいおい、古手川と結城ってそーゆー関係だったのか?」
「えー、ウソー?だっていつも結城くんって古手川さんに突っかかられて、仲良い風には見えないじゃん」
「いや、ケンカするほど仲が良いって言うじゃん、俺らが知らないだけで二人っきりの時はめちゃめちゃ仲良かったりするかもしれないぜ?」
そんなざわめきが聞こえてくるやら思わずリトの事を言ってしまった事に対する羞恥やらで、唯の顔は瞬く間に赤く染まった。
「え~皆さん、静かに~…」
聞き分けの良い生徒ばかりなのか、骨川先生のその一言でクラスはだんだん静かになっていく。
しかし唯の顔は暫くは赤くなったまま直らなかった…

―休み時間―
いやー、まさかあの古手川さんが突然あんな事言うなんてねぇ…」
と、若干にやけながら言う里沙に、
「古手川さんオトすなんて、結城って結構やるオトコだったんだ~」
と言う未央。
2人の傍らには、訳が分からないと言った表情のララとお静、複雑そうな表情の春菜、怪訝な表情をしたルンが居た。
「ねぇ…ユイとリトが付き合ってるって、どういう事…?」と、ララは真顔で尋ねてきた。
唯は未だ少し頬を染めながら、
「だから!違うって言ってるでしょ?別に私はただ問題児の結城くんが何で学校に来てないのか、疑問に思っただけよ!別に他意は無いんだから!」
ホント?な~んだ、良かったぁ~!」
ララは唯の言葉を素直に受け止め、見てるこっちまで自然と笑いたくなるような、あの明るい笑顔になる。
しかし里沙は、
「ダメよララちぃ。唯みたいな娘はホントの気持ちをなかなか出さないんだから」とララに忠告をする。
しかし当のララは
「そんな事ないよ!唯はウソつかないもん♪」と楽観的。
やれやれと言った感じの顔で、里沙は唯に詰め寄ってきた。
「ダメよ唯。ララちぃは騙せてもこの私は騙せないわよ?
第一、結城が来てないだけで心配になるってトコが怪しいじゃない?」
また若干にやけながら、里沙は唯に言い寄る。
しかし、
「ゆ、結城くんは問題児だから、みだりな生活リズムで体調崩してたらし、心配だなーって思っただけで…そ、そういう人が一人でも居ると、クラスの風紀が乱れるからね!」
と負けじと言い返す。
しかし…里沙はこういう言い合いに関してはいろんな経験あってか、唯より一枚上手だった。
「え?なんかそれって、奥さんや彼女みたいな心配じゃない?その人の生活リズムまで気にしちゃうなんてさー…良いお嫁さんになれるよ、唯は」
─お嫁さん。
その一言で、唯の頭は完全に沸騰してしまった。
いくら雑念を頭から追い払おうとしても、ハレンチだと分かっていても…頭の中には嫌応無しにリトと自分が結ばれ、家庭を築く光景が次から次へと思い浮かんでしまう。
「お…お嫁さ…て…も…もみお…さ…」
言葉もしどろもどろな唯に対してさらに里沙は追い撃ちをかける。
「やっぱね…それにね、唯?唯って嘘つくとき、耳たぶが震えるの。知ってた?」
赤くなった顔のままハッとした表情になった唯は、慌てて耳たぶをつまんだ。しかし、耳たぶの震えなど無い。
聡明な唯は、すぐに里沙のカマかけだと分かり、ますます顔を赤らめた。もう火が出そうな程である。
─キーンコーンカーンコーン…
そんな時…、次の授業の開始を示すチャイムが流れた。
「やっば!早く席につかなきゃ…あの先生おっかないんだよね…」
里沙をはじめとする一行は、慌てて自分の席へ戻っていった。少し遅れて唯も我に返り、席に戻っていった。
それから一日唯は、授業中は思わず見てしまいそうになるからっぽのリトの席を出来るだけ見ないよう自分の中で奮闘し、休み時間は再び質問責めに遇うのが嫌だったので、出来るだけ一人で過ごした。
そして、放課後…
帰りのHRが終わると同時に、唯は早足で教室を出た。
もちろん、また里沙達に質問されるのが嫌だった、というのも有るが…それよりも唯は別の事を考えていた。
─昼休み中、ララさんにこっそり尋ねてみたら、結城くんは風邪で休んだらしい。恐らく…私のお見舞いに来てくれた時にうつってしまったんだろう。
なら、行かなきゃ。私がうつしてしまったんだし…
それに…
私は…やっぱり結城くんのことが…
だから、絶対に行かなきゃ…─

─バタン!
帰宅した唯は、急いで自室に荷物を置くと身支度を始める。
とりあえず身体はキレイにしなきゃとシャワーを浴びたり、髪は念入りに整えたり…
…がしかし、テキパキと準備を進めていた唯は自室のクローゼットの前で立ち尽してしまう。
「な、何よ!スカート…こんな短いのしか無いわけ?」
そこには、一体いつこんなモノを買ったかという位に短いスカートしかなかった。よりによって他のスカートは洗濯中だった。
どれ位短いかというと、彩南高校のあのミニスカートよりさらに一回り短い。ちょっとした事で、中が見えてしまいそうである。
ズボンをはいていくのもアリだが、今日は季節外れにけっこう暑い日なのでそれは避けたかった。
(し…仕方ないわね…こんな短いのはちょっと嫌だけど…
で、でも、結城くんの前なら…)
と、そこまで考えて唯はふと我に返った。昔の自分なら考えもしなかったであろうハレンチな考えに対し、唯は自分の頭をポカポカと叩いた。
(ハ!ハレンチだわ!私ったら何考えて…)
しかし、これをはいて行くしかなさそうではある。悩んだ末、唯はそのミニスカートをはいて着替えと支度を済ませ、家を出た。

程なくして、唯はリトの家の前に来た。
(前にも一度来た事があったけど、あ、あの時は緊張なんてしてなかったのに…何で今日はこんなに緊張してるのよ私…)
それもそのはず。前来たのは、ララの発明品によりみんなでオキワナ星に行ってしまった時だった。
あの頃はリトの事はただの問題児としか見てなかったし、ましてや好意など持ってなかった。
が…今はもう、リトは自分の意中の人である。その人の家に来るのに、緊張しないはずはなかった。
(と、とにかく落ち着かなきゃ…スー…ハー…)
唯はとりあえず落ち着く為、その場で深呼吸を始める。
(スー…ハー…よ、よし、じゃ、じゃあ押すわよ…)
緊張が和らいだのかそうでもないのかよく分からないまま、唯は思い切ってチャイムを鳴らした。
…しかし待つこと1分、反応は無かった。
もう1,2度鳴らしてみるが、やはり反応はない。
不穏に思った唯はドアノブに手をやる。なんと、鍵が開いていた。
(え?)
普通、病人が居た上で自宅の玄関を開けっぱなしにしておく家庭などいない。
さらに、チャイムを何度押しても反応が無かった。
(…!もしかして…結城くんに何か有ったんじゃ…?)
たまたま一人でいる時に泥棒に入られ、縛られてる可能性だってあるかもしれない。
そう思うといても立ってもいられなくなった唯は、思わずドアを開け、神速で靴を脱ぎ家に駆け込んだ。
「結城くん!何処なの!?大丈夫!?」
しかし慌てていた唯は、廊下の中ほどで足を滑らせ、仰向きに転んでしまった。
―ドタッ―
「い、痛ッ…」
―パサッ―
なにか、布のような物が落ちる音がしたのに気づき、顔を上げると…
仰天してバスタオルを足元に落とした、文字通り素っ裸のリトがいた。
「な、な、な…?」
それだけでもかなりマズい状況なのだが、さらにマズい事には…
どうみても、リトのムスコは唯を前にして怒張していた。
無理もない。突然、家に知り合いの美少女が超ミニスカで駆け込んできて、しかも目の前ですっ転んでパンチラをやらかしたのである。
いくら賢者の如き理性を誇るリトでも、あまりに突然の事態に理性を働かせる間など無かった。
「え…?あっ、あの、古手川、コレは、その…」
慌てふためくリトだが、もう唯の耳にはその言葉は入ってなかった。
目の前に、自分のモノを大きくしている男性が突然視界に飛び込んできた。たとえ唯でなくとも、パニックになるのには充分すぎる。
「ハ…ハ…ハ…
ハレンチなっ!!!!!!」
気づけば唯は、持っていた鞄をリトめがけて投げつけていた。
急所に当たった!効果は抜群だ!悶絶したリトは、その場に蹲った。

「ご…ごめんなさい、結城くん…」
リトの自室では、唯が見るからに落ち込んだ様子でリトに謝っていた。
「いいって、まあ、こっちもその…悪かったしな」
リトは少し気まずい表情をしながら、唯の謝罪を受けとめた。
「で…な、何で、裸で居たの?いくら結城くんがハレンチだからって、ま、まさか…そういうのが好きなの…?」
少し聞きにくそうに、唯が尋ねる。
リトは慌てて、
「違うって!風邪が昨日の夜からだったんだけど、今は大分熱が引いてきたから、夜入らなかった分、風呂に入りたかったなーって…で、風呂から出てみれば何か呼ぶ声がするから、様子を見に来たら…そ、その、古手川が転んでて…」
最後辺りは言いにくそうに、リトが答える。
「そ、そう…体調は、もう良くなってきてるのね?良かった…」
心底安心したような声で、唯は胸を撫で下ろす。
「でも、何で玄関を開けておいたのよ?大体ララさんや美柑さんはどうしたの?」
「ああ、ララと美柑は色々買い出しに行ったよ…夕飯の用意とか、あと風邪がまたぶり返すといけないからって、風邪薬とか冷○ピタとかさ…鍵は、多分美柑がかけ忘れてったんだな…」
「そ、そう…」
やはり、予想はしていたが…この結城家において、今は自分とリトの二人っきりである。
(昨日もそうだったのに…きょ、今日も二人っきりなんて…)
嫌が応にも、唯は緊張した。自然と胸は高鳴り、体は熱くなる。
「しっかし…古手川も風邪治ったばかりなのに、俺のお見舞いになんて来ちゃって良かったのか?」
心配そうな声でリトが尋ねる。
「だ、だって…私のお見舞いにきたせいで風邪ひいちゃったんなら、今度は私が多少ムリしてでも来なきゃならないじゃない…!た、ただそれだけの事なんだから、か、勘違いしないでよね!?」
唯は真っ赤になって諭す。
「(な…何で赤くなってんだ…?)あ、ああ、ま、ありがとな古手川」
困惑しながらリトはお礼を言う。唯が胸のドキドキと必死に格闘しているのも知らずに…
が、次のリトの言葉は、そんな唯の奮闘をあっさり否定するようにぶち壊した。
「でも…俺、古手川のそういう所好きだな。責任感じて、わざわざお見舞いに来て、……」
しかし…神の悪戯か、よく聞いてなかった唯の耳には、こう聞こえてしまった。
『古手川……好きだ………』

聞こえた「好きだ」のリトの言葉が、言い知れない歓喜のうねりとなって頭の中で反芻した。
(ゆ、ゆ、結城くんが…わ、わ、わ、私のコトを…っ)
胸の高鳴りはもはや最高潮に達し、体もまるで熱が有るかの如く熱くなっていた。
心のどこかで、ずっと、ずっと待ち続けていた言葉だった。
もう、いろんな意味で唯の堅固なタガが外れた瞬間だった。
「ゆ、結城くん…こ、こっち来て」
唯は絞り出すような声で、リトに言った。
「?良いけど…」
リトはベッドから降りて、唯の目の前に来た。
唯の顔はなんだか色っぽく紅潮していて、瞳は潤んでいた。
「こ…古手川…?」
そんな唯を目の当たりにして、リトも何だかドキドキしてしまう。
しかも今日の唯はどう見ても妙にハレンチな格好だ。彩南高校のより短いミニスカートから、ほんのり紅くなってはいるがまだまだ白くてキレイな唯の脚が覗いていて、視線が吸い寄せられそうになってしまう。
しばらくお互い押し黙っていたが…じきに、唯が、震える声でリトに言った。
「わっ、私の風邪なんだから…返してもらうわよ!」
「へっ?」
―チュッ―

リトの頭の中は、真っ白になりそうになった。
あの、あの古手川が。俺にキスをしてきた。
訳が分かんない。
俺に、いつもプリプリ怒ってた、あの古手川が…
でも…、今、俺に熱烈にキスしてる、黒髪ロングの女の子は…間違いなく古手川。
どうでもいいような男にこんなことするようなヤツじゃないって事は、よく知ってる。
ま、まさか…こ、古手川が…俺のコト…?
じゃ…じゃあ…
今までの、古手川が俺にしてきた態度って…まさか…
リトは今や舌を絡ませてきた唯を見つめ、半分停止した頭で必死に考えた。
俺は…古手川のキモチに…ずっと気づいてやれてなかった…のか…。

唯はそんなリトに、腕を絡ませて抱きつくような格好でさらにキスを続けた。
自分に…こんな冴えない自分に、こんな事をしてしまうまで好意を持っていてくれたのか。
そして、それを俺に知られるのが恥ずかしくって…あんなつんけんとした態度を必死でとり続けていたのか…
そう悟ったリトは、もうどうにも止まらなくなるほど、唯が愛おしくなった。
唯と同じく、リトも既に、止まらなくなっていた。

「こっ、古手川…ッ!」
鋼の理性が崩れ去ったリトは、唯をやや乱暴にベッドに押し倒した。
「ゆ…結城くんッ」
目の前に倒れている唯の…綺麗で長い黒髪、整った顔立ち、ララに負けず劣らずともとれる程の、大きくて柔らかそうな胸、ミニスカートから見える、少し汗ばんだ、むっちりとした太もも…それら全てが愛おしく思え、またやらしく思えた。
「こ…古手川、その…いいのか?」
先にしかけた方ではあるが、やはり言葉に出すのは恥ずかしいのか、唯は小さくコクッ、と頷いた。
その恥じらったような態度も、やはりまた愛らしく思ったリトは、両手を唯の顔にそっと添え、今度はこちらからキスをする。
お互いに、頭がとろけるようなキス。柔らかい唇が触れ合い、互いに舌をいやらしく絡ませたキスだった。
…と、キスしながら体を密着させていたので、唯の豊満な胸がリトの胸板に当たる。
思わず、両手が唯の胸へと伸びる。そしてそっと手を置き、優しく、かつ大胆に揉み始めた。
「んっ、ん…んん…はっ、はあ…っ…結城くん…」
長く重ねていた唇を放し、唯が甘い声をあげる。
しかし、その声はあまりリトの耳には届いていなかった。リトの頭の中は、唯の胸を揉んだ事による感想で一杯になっていた。
(や…柔らけぇ…っ)
今まで、幾多のトラブルにより偶然女の子の胸を揉んでしまった事はある。ある程度柔らい事は、不本意ながら知っていた。
けれど、こんなにじっくり揉んだ事はなかったので、その柔らかさに改めて驚く。
揉んでいく度に、リトの頭の中は更なる欲望で満たされていく。
(こ、古手川のこの胸…直接触ってみたい…)
満たされていく欲望は、次第に脳髄を刺激し、勝手に体を動かしていく。
リトは震える手で、唯の服を脱がしていった。
シャツを脱がすと、小さなリボンが付いた、ピンク色のブラを付けた唯の上半身が目に入る。
基本的にスリムな体なのに、大きめな胸。リトはそのギャップにさらに興奮し、本能のままブラに手をかけた。
…が、なかなか外れない。悪戦苦闘していると…
「結城くん…ブ、ブラのホックは内側に引き寄せて外すのよ…」
リトの不手際に、唯ははて、と疑問に思った。
「もしかして…結城くん…は、初めてなの?」
唯は、つい疑問を口に出してしまう。
「あっ、ああ、そうだけど…」
困惑したような声で、リトは答えた。
「わ…私…てっきり、ララさんとその、もう…しちゃってたのかなって…」
「バ、バカ言えよ!こんな事すんのは、こ、古手川が初めてで…」
唯の中で、今まで生きてきて味わった事の無い程の喜びが沸いた。
(私は…結城くんの、は、初めての人で…、私も、初めては結城くんで…)
今まであらぬ勘違いをしていただけに、喜びも大きかった。
唯は自らブラのホックを外す。
「わ…私だって、こんな事初めてなんだから…はい、や、優しくしてよね…」
そこに現れたのは…白い、2つの綺麗な形をした乳房だった。
「す…すげぇ…」
リトの口から、自然と感想が出る。
震える両手は、吸い寄せられるかの如く唯の胸へと伸びた。
─むにゅん。むにゅん。
もう、リトにとっては未曹有の柔らかさだった。
(ゆ、指に…揉む度に、指に吸い付いてくるみたいだ…ッ)
いくら数多くのエッチなトラブルに遭いつづけてきたリトも、生の胸を触ったことは殆ど無かった。その柔らかさに、リトは病み付きになってゆく。
「ひ…ひうッ!あ、あんっ…ゆ、結城くぅん…」
無我夢中になって唯の胸を揉むリトのそれは、初めてな為高度な愛撫とは程遠かった。が、今の体がほてった唯には充分すぎるほど気持よく思えた。
そんな唯の反応を見て、ますますリトの興奮は加速する。
揉むだけでは飽き足らず、ついには乳首を舐め始めた。
「…!はっ、はああ…ッ!あっ、やっ…!」
唯も今までに無い快感に身を捩じらせる。
乳首にリトの舌が当たる度に、体中に電流のような快感が走る。
自然と、体が震えた。唯のそんな反応が嬉しくて、リトは胸を揉みつつ、優しく乳首を舐め続けた。
…が、リトはふとある事に気付いた。
自分のモノが、もう暴発寸前である事に。
唯も胸をいじくるのをやめたリトの様子を見て、それを悟ったらしい。
「しょ、しょうがないわね…結城くんってば、ホントにハレンチなんだから…っ」
「なっ!そ、そんなやらしい体してる古手川だって…てか、そのせいで…」
「い、良いわ。私…頑張ってみるわ」
唯は、意を決したような表情で言うと、不慣れな手付きでリトのズボンを脱がし始めた。
やっとの事でズボンを下ろすと…やはりパンツの上からでも分かるほど、リトのモノは大きくなっていた。
「じゃ、じゃあ…下ろすわよ!」
唯は思いきって、リトのパンツを下ろした。
目の前に現れたのは…先程見た時よりもさらに大きくなっていた、リトのモノであった。
「す…凄っ、大きい…」
思わず口をこぼす。
唯はそっと、それに手を触れてみる。
(何だか熱くて…脈打ってる…
そ、それに、先っちょからなんか出てる…)
初めて触る男性のモノに、唯は戸惑いを隠せない。
が、唯はこれをどうするべきか…実は、知っていた。
昔兄の部屋に置いてあった本で、読んだ事があったのだ。
(こ…これを…舐めれば、良いのよね?)
唯はまだ戸惑いを隠せないでいたが…脈打って何だか苦しそうなリトのモノを見て、早くしなきゃ、と意を決した。
意を決して、唯はそれをくわえようとした。
…が、そこで突然リトが慌て出した。
「ま、待って古手川!」
「え…?」
「く…口でしてくれるのも嬉しいんだけど…」
「だけど?」
「だけど…お、俺、古手川の、おっぱいでして欲しくて、その…」
「え?」
唯は驚いた。
(胸でどうこうなんて、あの本には書いてなかったわよね…?)
が、リトが言うからにはそういうのも存在するのだろう。
唯は半ば呆れた声で、
「ホ、ホントにおっぱいが好きなのね結城くん…前から何度も胸揉まれたのも、じ、実はやっぱり狙ってて…」と返した。
「ち、違うって!
で、でも…やっぱり古手川の胸は、す、好きだ」
二度の「好き」の言葉に、唯の胸はキュンとなる。リトが口上手な人間でなく、素直な事を言ってくれてると分かってたので、尚更に嬉しかった。
「しょ、しょうがないわね…ゆ、結城くん、ちょっと待ってて…」
唯は身を乗り出した。
(む…胸で…って、やっぱりこうするしかないわよね…?)
唯はとりあえず、胸を寄せリトのモノを包んでみた。
「はああっ!こっ、古手川!それ…いい…」
情けないようなリトの声と、ますますビクビクし始めたリトのモノを見る限り、やり方は間違ってなさそうである。
今度は、胸を上下に動かしてみた。
シュッ、シュッと、唯の胸とリトのモノが擦れる音が響く。
次第にそれは、リトのモノから溢れ出る我慢汁が混ざり、胸の柔らかさと相まってにゅるっ、にゅるっとした感触へと変わっていく。
「…こ、古手川ッ…もう、俺っ…!」
もう、限界だ。唯からキスされてからずっと怒張していた自分のモノは、唯の大きくて柔らかい胸に挟まれしごかれ、爆発寸前だった。
「え?ちょ、ちょっと、待って…」
しかし、もう今のリトには何も聞こえない。リトは溢れでる欲望と快感を、たまらず唯の胸と顔に勢いよく放出した。
―どぴゅっ、どぴゅっ。
「あっ……きゃんッ!?」
一瞬で唯の胸と顔は、リトのモノから溢れ出た液体にまみれる。
突然、尋常じゃない量のソレを浴びた唯は面くらってしまった。
「す…すご…お、男の人って、いつもこんなに出すの…?」
勿論そうではない。リトは元々ララと同居し出して以来1年間、当然ララの目があるのであまり抜く機会が無かった。それ故今も、ただ単に充分溜まっていただけである。
しかしリトは、
「はぁ…はぁ…、こ、古手川のおっぱいが気持ち良かったから…たぶん…」
またしても唯を狂わせる、魔性の言葉を嘘偽り無い気持ちで吐き出す。
(結城くん…私の胸でいっぱい気持ちよくなってくれたんだ…)
三度、唯の胸はキュンとなる。
そんな唯をヨソに…一度静まったリトのモノは、何故か再び怒張し始めていた。
自分の精液にまみれた唯を見て、不覚にも再び邪な欲望が沸いてきてしまっていた。
リトのような鋼の理性を持つ人間ほど、タガが外れた時は普通の人物より凄まじかった。早くも我慢の限界を迎えたリトは、再び唯を押し倒した。
―ドサッ。
「ちょ、ちょっと、どうしたのよ?」
突然また押し倒された唯を無視し、リトは、ミニスカートから伸びる唯の美しくもいやらしい太ももの間に、手を入れてきた。
「ちょ、ちょっ…」
リトは唯の股間を、本能のまま下着越しに弄り始めた。
下着越しでも分かるほど…、唯のそこはすでに濡れていた。
既に濡れてはいたが、リトに弄られたことにより、更に秘部からは淫靡な蜜が溢れ出てくる。
下着はもう、溢れ出る蜜でぐしょ濡れになっていた。
「こ…古手川、直接、良いか?」
唯はコクリと小さく頷く。
震える手で、リトは唯の下着を脱がしていった。
秘部を含む、唯の全てが露になった。
(こ…これが、古手川の…)
今まで不本意ながら何度かララのを見たことは有ったが、はっきりとは見ていなかったので、リトは感動を覚える。
未だ震えっぱなしの手で、リトは唯の秘部にそっと手を伸ばした。
―クチュッ…
指先が触れると、聞いたこともないようないやらしい音がする。
(す…すげぇ…もう、トロトロだっ…)
「ひ…ひうっ!ふ…あっ…」
初めて他の人に秘部を触られた唯は、その快感に身を震わせながら悶える。
その声を聞いたリトは、そんな悩ましげな唯の反応をもっと見たいがため、少し激しく弄ってみる。
クチュッ、クチュッと、いやらしい音が部屋を満たす。
「あ…ああっ!ゆ、結城くん…も…わたしっ…!」
…と、そこでリトの指は止まった。
イキそうなところで愛撫を止められた唯は、思わずリトに不服を言う。
「ちょ、ちょっと…なんで、やめちゃうのよっ…」
そんな唯に対し、リトはハッキリと言った。
「一緒にイキたい…」
「え?」
「古手川と、繋がって…一緒にイキたい」
リトの言葉に、唯は目を見開いた。
「だ…ダメか…?」
遠慮しがちな声でリトが尋ねる。
「…ばかっ…」
「え?」
「ダメなワケ…ないじゃない…っ」
―公園で突然リトに押し倒されたあの日。
お見舞いに来てくれた昨日。
それ以外にも…幾多の日の夜に、リトを想って想像した事、そのものだった。ダメなはずはなかった。
「ず…ずっと、待ってたんだから…」
やや驚いた表情のリトだったが、次第に、その表情は期待と緊張の混じった表情へと変わっていく。
「じゃ、じゃあ…行くぞ?古手川…?」
緊張した声で、リトは自分のモノを唯の秘部へと触れ合わせる。
「ゆ…結城くん!」
「?」
「な、名前で…唯って、呼んで…」
恥じらったような声で唯が囁く。
そんな唯の愛らしい反応で、リトの欲望は最高潮と達す。
「ゆ、唯…行くぞ…ッ」
―ズプッ―
いやらしい音を立てて、リトのモノが唯の中へと入ってきた。
「んっ…あっ…!」
唯が苦悶の声を上げると同時に、秘部からは純潔の証が切れたことを示す、一筋の血が流れた。
「だ、大丈夫か?唯?」
リトが心配そうな声を出す。
「んっ…大丈夫よ…だ、だから、お願い動いて…」
甘えるような懇願のような声でそういう唯に、リトは応えた。
唯が出来るだけ痛い思いをしないよう、ゆっくりと腰を動かし始める。
「う、あ、あっ…き、気持ちいい…唯…」
初めて味わう未曽有の快感に、リトはすぐに絶頂してしまわないよう頑張るのが精一杯。
唯を愉しませる余裕などは無かった。
それでも唯は、リトの心遣いがうれしかったせいか、きちんとリトの腰の動きに合わせ快楽を覚えていた。
「はっ…はあん…ゆっ、ゆうきくぅん…」
リトが動く度に、キュッ、キュッと唯の膣内は締まっていき、リトのモノを締め付けていく。
膣内の襞はリトのモノに絡み付き、徐々にリトの限界を迫らせる。
唯も、リトの怒張したモノだ出入りする度、先にイってしまいそうになるのを堪えていた。
もう、限界は、互いに近づいていた。
「ふ…ふうんっ…ゆ、結城くんわたし…もう…!」
今すぐに絶頂してしまいそうな快感を堪え唯がそう言えば、
「お…俺も…もう限界だっ…!」とリトも返す。
「そ、外に、出すぞ…っ」
リトが苦しげな声で言う。
しかし唯の反応は違った。
「だ、ダメッ!」
「な、で、でも、中に出したら…」
「わたし…結城くんの全部、受け取りたい!だから、そ、そのまま出してぇ…ッ!」
頭の中では良からぬ事と分かっていたが、唯の言葉に甘んじてしまう気持ちの方が、今のリトは強かった。
「だ、出すぞ…ッ!ゆ、唯ぃ…!」
リトは己の全てを注ぎ込むような気持ちで、唯の膣内に思いっきり発射した。
―どぴゅっ、どぴゅっ、ドクッ、ドクッ…
唯は自分の膣内に、リトのが注ぎ込まれるのを感じたのと同時に、絶頂を迎えた。
数秒ほどリトのが注ぎ込まれると…唯の秘部からは、白い液体が溢れ出る。
互いに、今までの人生一番の絶頂に、身を痙攣させる。
「うっ、う…」
「はっ、はあ…」
全身の力が抜けた二人は、互いに体を寄せ合い軽く抱きしめ合う。
「ご…ごめんな唯…中に出しちゃって…」
欲望に先走ってしまったの申し訳なく思い、リトは唯に謝る。
「い…良いのよ、今日は大丈夫だったから…」
唯の一言で安心するリト。
が…、心のどこかで少し残念に思っている事に気づき、リトは一人で慌てた。
(な、何考えてんだ俺!?大体俺達はまだ、学生だっつーのに…)
唯はそんなリトの様子には気付かず、甘えた声でリトに呟く。
「結城くん…私…しばらくこうしていたい…」
「?何で…?」
「だ、だって…私と結城くんが、初めて繋がったんだもん…二度はないことだから、その…しばらくは、このまま…」
そんな唯の、本当に可愛らしい反応を見て……情けないことながら、リトのモノは、唯の中で三度大きくなってしまった。
突然大きくなり始めたのに驚いて唯は思わず声をあげる。
「ひゃ…ひゃんっ!
おっきくなるって…も…もしかして結城くん、まだ…したいの?」
「い、いや、それは、その…」
慌てふためいて弁解するリトだったが、唯は笑顔になり、
「良いわよ…こ、今度は、もっと耐えてみせるんだからね!結城くんも頑張ってよね?」
と、すっかり乗り気になってしまった。唯もまた元々がカタめの人間だった為…タガが外れた時は凄いものだった。
リトの方も、したくなかったわけではなかったので、その気になってしまった。
「じゃ…じゃあ、行くぞ、唯…」
「うん、来て、結城くん…」

「ねー、美柑?買い忘れた物ってなーに?」
明るい声で美柑に尋ねてくるのは、いつも通りの調子を取り戻して、天真爛漫さたっぷりのララ。
「あっ、ああ…ちょっとネギが足りなくなってたのを思い出してさ…」
やや慌てたような声で答える美柑。
(それにしても…まさかあのリトが、こ、古手川さんとあんなコトしてただなんて…)
先ほど買い物を済ませ、家の前まで来て玄関を開けたところ、リトと、聞き覚えのある女性の喘ぎ声がしたので、美柑は慌てて戸を閉め、とりあえず時間稼ぎの為、適当な理由を作って家から離れていた。
「ふーん、そっかー…早く済ませて、リトの看病してあげようね、美柑!」
何も知らないララの笑顔を見て、美柑はいろんな意味で頭を悩ませる。
(はあ…どうすんのよ、バカ兄貴…
…とりあえず、スーパーから戻る頃には終わって帰ってるよね…?)
しかし結城家では、たった今二回目の交わりが始まったばかり。
どうやら…しばらく二人は、帰れそうにないようだ。

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