ラコスポの逆襲 その1
「う……」
薄暗い光の中、金色の闇――通称ヤミと呼ばれる少女は目を覚ました
「ここは…?」
本屋で情報収集という名の立ち読みを終え、帰宅の途につこうとしていた彼女だが
突如眼前にきらめいた光に昏倒
どれくらい気を失っていたのかは不明だが、自分ともあろうものがこんな無様を晒すとは――とヤミは自分を叱咤する
(まずは状況を把握…?)
そこでヤミは気がついた
四肢が拘束されている
両腕をバンザイするように開かれ、足は揃えられたままの状態
いわゆるYの字形の固定だった
(無駄なことを)
ヤミは自分を捕らえた犯人に嘲笑を送った
ヤミの変身(トランス)能力を持ってすれば脱出は容易なのだ
ならば得意になっているであろう犯人から情報を引き出すだけ引き出して
脱出するなり犯人をボコボコにするなりすればよい
「やあ、目が覚めたようだね~」
ヤミの耳に耳障りな間の抜けた声が響いた
横滑りに開かれた扉の向こう側から現れた一つの影
それはララの婚約者候補にしてヤミを騙した元依頼主ラコスポだった
「…なんのつもりですか、ラコスポ」
「ふふん、まだそんな生意気なクチが聞けるだもん?状況わかってるの、金色の闇?」
「それはこちらの台詞です。偽りの情報を私によこしただけではなく、このような仕打ち…ただではすみませんよ?」
ヤミの睨みに怯えたように一歩後ずさるラコスポ
が、自分の圧倒的優位を思い出したのか、自信を取り戻すとラコスポはヤミにゆっくりと近づきだす
「ふん、お前のせいでララたんには嫌われるし、殴られるし、ガマたんなんて全治一ヶ月なんだもん!?」
「あんなえっち生き物はいなくなったほうが世の為です。それで、結局私に何の用なのですか?」
「おっとそうだったもん。ぐふふふ、仕事を失敗した挙句、あろうことか愛しのララたんのいる街に居座る悪女に制裁を加えるんだもん!」
そう宣言すると、いやらしい目で拘束されたヤミの身体を眺め回すラコスポ
ヤミはぞわぞわっとする悪寒を感じ、キッとラコスポを睨み付けた
「…そのえっちぃ目をやめなさい。あと、それ以上近づくととんでもないことになりますよ」
「ふふん、そのザマでやれるもんならやってみればいいんだもん」
ラコスポとヤミの距離が一メートルをきる
瞬間、ヤミは髪をグーパンチにトランスするとラコスポをボコボコに
「え……!?」
できなかった
指令を発したはずの髪はピクリとも変化をしない
慌てて腕、足とトランスを試みてみるも、ヤミの身体はまったく変化を起こさなかった
「ぷぷぷ…どうしたのかなぁ、金色の闇?」
「ラ、ラコスポ。一体何を」
「ふふん、知りたい? なら教えてあげるんだもん! お前の両手両足首を拘束している金属は特殊な金属でね
ありとあらゆる特殊能力を封じることができるんだもん!」
「な…」
ラコスポの言葉に愕然とするヤミ
ラコスポの言葉を頭の中で否定し、何度もトランスを試みてみるも一向に変身能力は発動しない
つー、とヤミの頬に一筋の汗が流れた
「くくく、良い表情だもん、金色の闇!」
「く…この拘束をときなさい!」
「とけといわれてとく馬鹿はいないんだもん。さあ金色の闇、この前はララたんに邪魔されちゃったけど、今度こそは楽しませてもらうもん」
ラコスポはヤミの焦った表情を満足げに見やると、その小さな身体をヤミの腰の横へと移動させた
ラコスポの身長は低いが、ヤミを拘束する台自体の高さが低めに設置されているので、ラコスポでもヤミの身体を見下ろすことができる
「さて、まずは…」
ラコスポの手がゆっくりとヤミの短いスカートへと伸びる
ヤミは、タコスポの狙いを悟り、無駄だとわかってはいても、拘束された身体を揺らした
ガチャガチャとヤミを拘束する金属が彼女の悲鳴を代弁するかのようにむなしく鳴る
「全宇宙に鳴り響く暗殺者、金色の闇はのパンツは何色だもん?」
「やめなさい…!」
拘束されているのは両手両足のみなので、ヤミは腰を中心に身体を揺らすことくらいはできる
ラコスポの手は逃げ惑う金色の少女の腰を楽しむように追う
ヤミの腰が右に左にとラコスポの手から逃げる
しかし、その抵抗はラコスポにとっては可愛いものでしかない
むしろくねくねと動き回る腰は非常に官能的でラコスポの目を楽しませるものだった
「くくく…非常にエロ可愛い腰ふりダンスだけど、あんまり激しく動くと見えちゃうもん?」
「え…!?」
ギクリ、とラコスポの言葉に身が固まるヤミ
ラコスポの言うとおり、短いスカートはヤミの動きに耐えられず、徐々にめくりあがっていたのだ
「スキあり! だもん♪」
「あ…!」
当然、ラコスポはその隙を逃さない
必死にひらひらと逃げ回っていたヤミのスカートの裾がラコスポの手によってついに捉えられてしまった
「そ、その手を放しなさい」
「いいもん?」
予想に反して、ラコスポは大人しくヤミの命令に従った
そしてヤミがほっとした瞬間、ラコスポは
バッ!!
とヤミのスカートを大きく捲くり上げた!
「なっ……!」
ぼ、と火がついたようにヤミの頬が赤く染まった
勢いよく捲りあげられたスカートはラコスポの手を離れ、ふわりと裾をヤミの腹のあたりに着陸させる
当然、スカートの中は全開となり、ラコスポの目にはヤミの下着がくっきりはっきりと映っていた
「白か~、オーソドックスだけど、金色の闇のって思うと興奮するんだもん!」
「み、見ないで……!」
なんとかしてスカートの位置を戻そうと必死に身体を揺するヤミ
しかしそれは無駄な抵抗に過ぎなかった
一度開帳されてしまったスカートの中身はヤミの自力ではもう隠すことはできなくなってしまったのだ
「くふふ♪」
ご機嫌な様子でラコスポはヤミの下着に包まれた秘所へと顔を近づけた
息がかかるくらいの近距離
ヤミは羞恥と怒りで身体をぷるぷると震わせる
ヤミの下着は色こそシンプルな無地の白だったが、そのカットはなかなか大胆である
ハイレグやTバックとまではいかないもの、切込みが大胆なその下着のデザインはラコスポの目を楽しませるには十分だった
時折、ヤミが身体をくねらせるため、パンツがよじれたり微妙に肌に食い込んだりするのだ
「絶景かな絶景かな♪」
「ラコ…スポ! 後で必ずあなたは殺します…!」
自分の股を覗き込む不逞の輩にヤミは殺気全開の視線を送る
が、自身の絶対的有利を確信しているラコスポは今度はビビることなくヤミと視線を交わした
「そんなこといっても、顔がそんなに真っ赤じゃあ迫力がないもん?」
「く…!」
「次は…」
「な、何を!?」
「くんくん…」
「あ、やめ…!」
鼻を鳴らし始めたラコスポにヤミは焦りの声をあげた
匂いを嗅がれている……ヤミの顔に体中の熱が集まった
「良いにおいなんだもん。ララたんのはきっとこれよりも上なんだろうけど…暫定でボクたんの良いにおいランキングの一位にしておいてあげるもん」
「嬉しくなど、ありません…早く、その顔をどけなさい!」
ギシギシと拘束台がきしむ
しかし、ラコスポにとってはヤミが暴れれば暴れるほど好都合だった
何故ならば、暴れた分だけ汗が流れ、体臭が分泌されるからだ
「さて、においチェックはこれくらいで切り上げて、次はおさわり――」
「な!?」
「――といきたいところなんだけど、それは後の楽しみにとっておくもん?」
ニヤリ、意地の悪そうな顔をしたラコスポにヤミは「遊ばれている」と悟る
烈火のような悔しさが身を焦がすが、拘束がとけない現状ではその怒りをぶつけることはできない
一方、ラコスポは正に得意絶頂だった
あの金色の闇が自分の言動にビクビクしているのだ
普段自分の住む王宮で女をはべらせるのとは次元が違う征服感
ラコスポは自分がどんどん興奮してくるのがわかった
(…と、いけないいけない。じわじわと弄っていくと決めてたんだもん。焦りは禁物だもん)
ラコスポは自分を律すると移動を開始する
今度の目的地はヤミの頭の横だった
「今度は、何をするつもりですか」
「ふふん、そんなに怯える必要はないんだもん?」
「怯えてなど…!」
「勇んでもだーめだめ! パンツ丸出しじゃあ迫力も何もないんだもん?」
「それは…あなたが…!」
ラコスポの言葉に自分の状況を再確認したのか、ヤミは視線を逸らす
いまだ強がってはいるが、徐々に弱気になっていることがその仕草からもわかった
ラコスポはヤミの反応に満足すると、チラチラと純白パンツを横目で鑑賞しつつ懐に手を伸ばした
「じゃじゃーん!」
「…イロガーマ?」
ラコスポが取り出したのは、先日ヤミとララの服を溶かす大活躍を見せたイロガーマだった
しかし、そのサイズは先日のものとはかけ離れて小さかった
小さいラコスポの手にちょうど収まるくらいの手乗りイロガーマ
見た目はやはりカエルなので小さいからと言って可愛らしさなど微塵も感じられない
「このイロガーマはガマたんの子供なんだもん。お父さんがやられて怒っているんだもん!」
「やったのはプリンセス…」
「原因はお前だもん! さあ金色の闇、覚悟するもん! ガマたんの敵討ちだもん!」
ラコスポが言い終えると同時に、小イロガーマはぴょこんとヤミの身体へと飛び移る
着地地点は胸元のあたりだった
「さあ、スッポンポンにしてやるもん、金色の闇!」
「う…!」
小イロガーマはヤミの胸元より少し上、右肩のあたりまで移動すると口から粘液を垂らしだした
やはり親と同じ生態らしく、粘液と接触したヤミの服がジュゥゥと音をたてて溶けていく
「小ガマたんはなりこそ小さくて、ガマたんみたく一気にすっぽんぽんにひん剥くのは無理だけど、
その分じっくりゆっくり溶かすことができるんだもん」
「だからなんだというのですか…えっちぃことには変わりはないじゃないですか!」
「一気にっていうのも魅力的だけど、やっぱりこういうのは徐々にやるからいやらしいんだもん。さあ、どんどんいくもん!」
「ニャー」
ラコスポの命令に応え、小イロガーマは粘液をどんどんたらしていく
両肩、首、首元と服の頂上部分があっという間に粘液によって溶かされていった
「くぅっ、やめ…!」
粘液の感触に眉をしかめつつ、ヤミは小イロガーマを振り落とそうと身をよじる
が、訓練でもされているのか、小イロガーマは絶妙なバランス感覚でヤミの身体の上に立ち続けた
「無駄無駄! 小ガマたんはその程度じゃあ振り落とせないもん!」
ラコスポが自慢気に語る間にも小イロガーマの攻撃は続く
鎖骨まで降下し、胸元にまでその粘液を垂らし始めた小イロガーマ
そしてついに、粘液はヤミの胸のふくらみにまで達した
ジュゥ…
ゆっくり、ゆっくりと溶かされていく自分の服をヤミは悔しそうに見つめる
すでに服の消滅は胸の上四分の一に達しようかというところだった
「こ、この…!」
このままいけば小さめながらも程よく膨らんだ二つの乳房があらわになってしまう
そう察したヤミは乙女の羞恥心に突き動かされて動きをより一層激しくしようとする
だが、次の瞬間
小イロガーマは粘液の投下をピタリと止めた
「?」
粘液が止まったことはありがたいが、止まる理由が思い浮かばないヤミはラコスポの顔を怪訝そうに見つめた
ラコスポはヤミの行動が予想どうりだったのだろう、満足そうな笑みを浮かべる
「不思議だもん?」
「何故、止めたのですか。私を解放する気になったのですか?」
「ぷぷぷっ! そんなことありえるはずがないもん。小ガマたん、じゃーんぷ!」
号令と共に小イロガーマは跳躍
ヤミの小さな双子山を飛び越えるとその先にある腹へと着地した
「何を…」
「続きだもん、小ガマたん!」
ヤミが問いを言葉にする暇もなく、粘液の投下が再開された
数秒後、小イロガーマの着地地点、すなわち腹を中心にヤミの服が溶けていく
まず、ヤミの可愛いおへそがあらわになる
続いて、腰と胸の間の部分がどんどん溶かされ、くびれたウエストが晒されていく
また、捲りあがっていたスカートも格好の餌食だった
小イロガーマはパンツに粘液をたらさないよう注意しつつヤミの下半身をさらしものにしていく
やがて、再び粘液が止まる頃にはヤミの服は身体を隠すという使命をほぼ果たすことができなくなっていた
「良い格好になったもん、金色の闇!」
「……っ」
ヤミは言葉をつむぐことができなかった
下半身を隠す布はもはや残すところ純白の下着一枚だけ
上半身は胸にマフラーがまきついているかのように残っている黒色の服のみ
ヤミが元々ノーブラであることを考えると、これはもはやセミヌードといっても過言ではない
「どうしたんだもん? 恥ずかしくて声も出せないもん?」
「黙りなさい…!」
「あれれ、まだ声が出せるもん? それにそんな反抗的な目をしちゃって…やっぱりスッポンポンにしないとわからないもん?」
パチン、とラコスポが指を鳴らす
小イロガーマはゆっくりとヤミの胸元へと移動した
「小ガマたん、やっちゃえ!」
「ニャー」
とろり、と三度目の粘液の投下が開始された
小イロガーマは今までになく慎重に粘液をたらしていく
ミリ単位で少しずつ少しずつ服を溶かす
ヤミはその間ただ震えて小イロガーマを睨み付けることしかできない
「よし、おっけーだもん!」
ラコスポの静止の声がかかり、粘液が止まる
胸を巻くように残っていた布は両サイドを溶かされてしまっていた
その上、胸の上下も更に絶妙に溶かされてしまったため、上乳と下乳が見えてしまっている
面積的に言えば胸の三分の二が露出していると言っても良い
しかし、その胸の頂上はまだ布に隠されたままだった
「おお~、セクシーだもん!」
「こんな…こんな格好…っ」
胸に残る黒い布は、胸を辛うじて隠すだけのものに成り下がってしまう
そしてこの瞬間、ヤミは抵抗のために身体を揺することすらできなくなってしまっていた
何故ならば、身体を揺すれば胸にかかっているだけの布が落ちてしまうかもしれなくなってしまったからだ
「んふふ~♪ どうだもん、金色の闇。恥ずかしいもん? 凄く恥ずかしいだろうもん?」
「わ、私は…こんなことくらいで屈したりはしません…!」
気丈な言葉だが、口調の震えはいかんともしがたかった
当然、それに気がついているラコスポは笑みを押さえられない
「ふ~ん、じゃあこれでどうだもん?」
四度目の粘液投下
粘液は胸の谷間を通過し、胸の上下左右をくまなくミリ単位で溶かしていく
そして…
「ひゃっほー! 小ガマたん天才!」
パチパチとラコスポは手を叩いた
粘液が止まった瞬間、ヤミの胸を覆う布はもはや乳首を守る数センチ平方のものだけだった
乳輪と乳首だけをかろうじて覆い隠す布と言う光景はむしろ全てが晒されているよりもいやらしい
「あ…う…」
ヤミは金縛りにかかったように動くことができなかった
もはや身じろぎをしただけで布が滑り落ちてしまうレベルなのだ
ラコスポは、一際悪そうな笑顔を浮かべた
「さって、ここからがお楽しみた~いむ!」
ラコスポは小イロガーマを自分の胸元にしまうと、ヤミの身体へと人差し指をのばす
狙いはわき腹だった
つん
「あっ」
恥ずかしさの余り、目を閉じていたヤミに少なからぬ衝撃が走る
くすぐったさと驚きの中間とも言える衝撃
ヤミは反射的に身をかすかに揺らした
「おおっ!?」
「!?」
身体の震えと共に、ヤミの小ぶりな胸もささやかな揺れを見せた
自然、頂点で健気にもその場所の死守を行っていた小さな布切れも揺れる
(ダメ…!)
ヤミの祈りが通じたのか、かろうじて布は動きを止め、場を動くことはなかった
ほっと一息つくヤミ
だが、油断はできない
一息つくその行動だけでも布は危うさを増すのである
なんとかこの状況を打開しようと思案するヤミ
しかし、ラコスポはそんなヤミの気持ちもお構いなく続けざまに指を伸ばした
「おへそ」
「っ!」
「うなじ」
「ぁっ」
「ひざこぞう」
「ぅくっ」
「脇の下」
「くぁっ」
ラコスポの魔指が次々とヤミを襲う
そのたびにヤミの身体は反応し、揺れる
ヤミはなんとか身体の反応をおさえようと努力する
乳首の防壁は既に風前のともし火だが、だからこそそこをラコスポの目に晒すことは耐えがたかったのだ
だが、いかんせん狙われた場所が場所だけに反射を起こしてしまうことは止められない
「お? なんかピンク色が見えてきたぞ~?」
「えっ…」
ラコスポの言葉にヤミは慌てて胸元へと目を走らせる
胸を守る最後の砦たる小さな布切れ二枚は僅かに死守している場所からずれていた
そしてずれたその部分から乳輪が僅かに見え隠れしている
その一つ一つは小さな反応だったとはいえ、何度も何度も揺らされ続ければ胸の頂点に乗っかっているだけの布はそうは持たない
数ミリのずれはいたしかなく、布を責めるのは筋違いと言うものだ
だが、ヤミにはそんなことは関係なかった
彼女にとっての重要事項は自分の肌が晒されていくと言う危機的状況のみ
流石に布を責めるなどということはしないが、ヤミは自分の身体の過敏さを恨んだ
「むふふ、もうちょっとで全部見えそうだねぇ~」
「目を、閉じなさいラコスポ…!」
「まあまあ、そんなに怒るものじゃないもん? そうだ、ずれたままってのもあれだし、元に戻してあげるもん!」
「え…あ、や、やめてください!」
ラコスポの紳士的(?)な言葉にヤミが嫌な予感を感じた瞬間、その予感は現実のものとなった
ヤミの胸へ顔を近づけたラコスポがふーふーと息を吹きかけ始めたのだ
「ふー」
「あっ、や、やめ」
「およ、右にずれちゃったもん。じゃあこっちから、ふー」
「ああ…」
「今度は左に行き過ぎたもん? うーん、難しいもん」
ラコスポがヤミの左右に身を移動させては息を吹きかけて布の位置を修正しようと試みる
だが、吐息で微妙な位置調整などできるはずもなく、右に左にとヤミの二つのポッチを守る布が大きく揺らされていった
「ラ、ラコスポ……いい加減に…」
「む? なんかむずむずしてきたもん? ふぁっ…ふぁっ…」
「なっ!?」
ヤミは嫌な予感に身をすくませた
今クシャミなどされたら間違いなく布は吹き飛ばされてしまう
つまりそれは自分の胸を守るものが全てなくなってしまうということだ
だが、身動き一つできない自分がラコスポのクシャミを止めることは不可能である
ヤミは絶望に顔を青ざめさせた
「ふぁーくしょん!」
瞬間、ラコスポのクシャミの声が部屋に響き渡った
来たる風圧に備えて身を硬くするヤミ
「…?」
しかし予想していた突風はやってこなかった
ラコスポを見やると彼は口を両手で押さえていた
つまり、突風は彼の口に押し込められたということだ
だが…
「あっ!?」
身を硬くする瞬間、ヤミの身体は大きく震えていたのだ
胸の攻防戦が始まって以来の一番の揺れは当然胸にも及ぶ
柔らかそうに左右に揺れる胸
そしてその頂上を守る布切れ二枚はその衝撃を受け、ついにその役目を終えようとしていた
「おっ、おっ、おっ!?」
ラコスポが口を押さえたままがぶりよりでヤミの胸元へと顔を近づける
彼の目に映るのはすーっと頼りなさげに胸という双子山の頂上から滑り落ちていく布切れ
そして次の瞬間、ヤミの胸はその全貌をついに現した
「~~~っ」
「うっひょひょーい! おっぱい! おっぱい! 金色の闇の生おっぱい!」
ラコスポの歓声が耳朶を打つ
ヤミはラコスポから目をそむけてその瞳を閉じることしかできなかった
初めて胸に受ける男の視線
ドクドクと鳴る心臓
少女の本能が最後の砦たる股間を守ろうと太ももをぎゅっと閉じ合わせた
「いやあ、ボクたんの周りの女の子と比べればちっちゃいおっぱいだけど、これはこれでいいねぇ、正に美乳だもん!」
ラコスポの批評どおり、ヤミの胸は比較的小さい
彼が恋焦がれるララと比べればその差は歴然だった
だが、形は黄金率といってよいほど整っていて、目を飽きさせない
身体に比例した小さい乳輪と乳首が外界の空気にぷるぷると可愛く揺れ怯える
身につけているものはパンツだけという姿と相まって、少女特有の瑞々しさが絶妙ないやらしさをかもし出していた